Cisco Umbrella 導入事例

リモートワークをはじめとする新しい働き方の基盤を
ゼロトラストネットワークで構築

学校法人高宮学園 代々木ゼミナール
IT教育推進部
情報システム室 室長
小田 有沙氏

全国6都市に校舎を持つ代々木ゼミナールにとり、模試成績を含む個人情報の保護は重要な課題だ。これまで基幹系・情報系ネットワークの切り分けによりセキュリティを担保してきた同校は、ゼロトラストネットワークに移行することで、よりセキュアで働きやすい環境を実現している。

導入前の課題

基幹系・情報系の切り分けによるセキュリティ対策が限界に

 代々木ゼミナールの創立は1957年。創立以来「日日是決戦」「親身の指導」を校訓に掲げる同校は、厳しい競争に立ち向かう全国の受験生に寄り添い、やがて「講師の代ゼミ」という評価を不動のものにして今日に至っている。また近年は、人工知能で東京大学の入試問題に挑戦する「東ロボくん」プロジェクトに参画するなど、EdTechにも積極的に取り組む。

 模試成績を含む個人情報を管理する関係上、同校にとり、情報セキュリティは極めて重要な課題であり続けている。これまでネットワークを基幹系と情報系に切り分けることで大切なデータを守ってきた同校だが、働き方の変化は、セキュリティの考え方を全面的に見直す必要性につながっていた。

 IT教育推進部 情報システム室 室長の小田 有沙氏はこう説明する。「以前であれば基幹系の情報は、校内の限られたメンバーのみ共有することが一般的でした。しかし情報化の進展と共に、多様な情報共有が求められるようになる中、これまでのセキュリティの考え方には限界が見えつつありました。さらに端末のセキュリティアップデート管理やアップデートの集中による通信の遅延などさまざまな問題につながっていました」

 また、ネットワークの分離によるPC2台持ちの解消も課題の一つだった。多様な課題に直面した同校は、ネットワーク環境を全面的に見直し、新しい働き方の基盤を構築することにした。

導入ポイント

  • POINT 1
    基幹系・情報系と
    2つに分かれていた
    ネットワークを統合
  • POINT 2
    ローカルブレイクアウトにより
    アプリアップデートに伴う
    通信の遅延を解消
  • POINT 3
    ネットワーク環境を見直し、
    これからの働き方に対応した
    基盤を実現

【導入の経緯】

直面する課題をすべて洗い出し、解決策をベンダー各社に求める

 まず行ったのは、課題の徹底的な洗い出しだった。約1カ月掛けて抽出した課題項目は「基幹系・情報系端末の統一化」「Windows Updateによる通信量増大」「非出社環境のWindows Update対応」から「無線LAN環境の改善」「ネットワークトラブル時のサポート品質向上」まで、全22項目にも及んだ。各項目には具体的な解説を加え、ベンダー各社と課題感を共有できるようにした。

「課題項目の洗い出しは、ネットワーク担当者が作った雛形に情報インフラ関連のメンバー6、7名が気づいた点を補足するという流れで行いました。各項目の解説には、問題点の実態とその詳細のみを記載し、解決の方向性などを示唆しないように注意しました。方向性を示してしまうと、当然提案もその枠組みの中に納まってしまいます。課題を共有いただいた上で、自由に提案いただきたいと考えました」(小田氏)。

学校法人高宮学園 代々木ゼミナール
IT教育推進部
情報システム室 室長
小田 有沙氏

 2021年4月、NTTデータ ルウィーブを含めた4社に課題リストが配付され、同年秋に各社から提案があった。小田氏は「システム提案を先にだしてから修正していくベンダーさんもいれば、NTTデータ ルウィーブさんのように課題の確認から入るベンダーさんまでさまざまでした。中でもNTTデータ ルウィーブさんとはリストの各項目について最も多く丁寧にすり合わせをしていただきました」と振り返る。

 その結果、採用されたのは、ゼロトラストネットワークとローカルブレイクアウトに関するソリューションを中核としたNTTデータ ルウィーブの提案だった。「特に評価したのは、機能とコストのバランスでした。コスト面で他社さんからは難しいといわれたEDRにも対応いただけたことはその一例です。またアカデミックプランの活用提案も助けられた点です。その背景には、密なコミュニケーションが大きな役割を果たしたと感じています」(小田氏)。

【導入後の効果】

より強固なセキュリティを実現する新しい働き方の基盤を提供

 2023年4月から運用を開始したゼロトラストネットワークの効果としてまず挙げられるのは、ユーザーの働き方に関連する効果だ。
 小田氏は「基幹用、情報用のPC2台持ちが不要になった点はやはり大きいですね。また無線LAN環境の見直しにより、部署を移動するたびにAPに接続し直す必要がなくなったことも好評です。以前は1,000台以上だったPCは統合化により800台に圧縮できています。そのコスト面の効果もかなり大きいですね」と話す。

 また、ローカルブレイクアウトにより、Microsoft 365アップデートに伴う通信の遅延が解消できたことも大きな効果の一つ。管理者側の観点として挙げられるのは、セキュリティ面の安心感だ。「以前は、基幹系PCから情報系PCにデータを移動する際、USBメモリを使用せざるを得ないこともありましたが、これは手間もかかるし、セキュリティ上好ましくありません。しかし今はゼロトラストネットワークによるセキュアな端末管理により、すべての端末の安全性が保たれるようになりました。各拠点に一任されていた管理も、本部で管理できるようにもなりました。他にも、導入前に、NTTデータ ルウィーブさんが、各拠点の現地調査をしてくれ、ネットワーク構成を明確にしてくれた点も管理者の立場からは大きな成果です」(小田氏)。

ネットワーク構成図

【今後の展望】

運用フェーズ移行後に期待するのはトラブルへのワンストップ対応の実現

 新しい働き方に対応したネットワーク基盤を実現した同校が今後の課題として挙げるのは、ネットワーク運用の省力化である。
「NTTデータ ルウィーブさんを選んだ理由はもう一つあります。それはワンストップサポートの実現です。以前はネットワーク障害が発生した際には、こちらでトラブルを切り分け、どこに相談すべきか判断することからはじめる必要がありました。現時点はまだ初期トラブルの洗い出しの段階ですが、トラブルが発生した際にNTTデータ ルウィーブさんにワンストップで対応をお願いできる基盤はすでに出来つつあると考えています」(小田氏)。

 今後の課題として挙げるのは、セキュリティの一層の強化だ。「当校が直面する課題は解消できましたが、セキュリティ対策にゴールはありません。今後も状況を見極めながら、セキュリティ強化を続けていきたいと考えています」と小田氏は言葉をまとめた。

導入した製品/サービス: ゼロトラストネットワーク関連サービス一式

信頼できる「内側」と信頼できない「外側」に分ける従来の考え方に対し、すべての通信を信頼しないことを前提にしたセキュリティの考え方がゼロトラストネットワーク。クラウドやリモートワークへの対応という観点から大きな注目を集めている。

導入した製品/サービス: Cisco Umbrella

DNS(ドメインネイムシステム)の名前解決の応用と、クラウド型プロキシーを提供し、インターネット上の脅威を最前線で防御する新しいクラウドセキュリティサービス。ユーザーがどこにいても安全なインターネット通信を実現する。

導入した製品/サービス: Cisco Meraki

クラウドでネットワーク全体を一括管理・運用が可能、ワイヤレスコントローラを簡単かつ安価に提供します。
速度だけでなく信頼性の高い安定した通信を発揮します。

導入した製品/サービス: SD-WAN構築サービス

時代の変化と相まって、企業活動におけるWAN環境は、必要とされる要件が日々変化していきます。
お客様の“現在”ではなく、“中長期的”な視野をもって柔軟なネットワーク環境を設計・構築します。

導入した製品/サービス: 保守・監視サービス

Ciscoゴールドパートナーをコアコンピタンスに、ネットワークのプロフェッショナルによる専門的な保守サービスを提供します。

導入企業プロフィール

学校法人高宮学園 代々木ゼミナール

高校生・高卒生を対象にした大学受験指導、大学入試模擬試験などの事業を展開するほか、小中高生対象の進学塾「SAPIX」のグループ化をはじめとし、SAPIX YOZEMI GROUP として幼児教育から資格試験対策までの教育ニーズに対応。

設立:1957年
代表:理事長 髙宮 英郎
本部:東京都渋谷区代々木2-25-7
URL:https://www.yozemi.ac.jp/

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