コラム

大規模ネットワーク環境の運用管理が劇的に変わる! 企業向けクラウド無線LANソリューション「Mist」

■大規模ネットワークならではの課題に対応

 

企業でスマートフォンやタブレット端末の活用に伴って、企業ネットワークに無線LANの環境が広がっています。さらに無線LAN環境の形態も、オンプレミス型からコントローラーが不要なクラウド型にシフトし、運用管理において迅速な導入が可能となるなどのメリットがあります。

 

しかし、クラウド型のシステムでも、小規模なネットワークと大規模なネットワークでは、構築や運用管理のポイントも変わります。社員数が多く端末数も多い大企業や、敷地が広い工場などでは、アクセスポイント(AP)の多く、対応も煩雑化しがちです。APの数が多ければ多いほど、トラブルが起きる確率も高くなり、接続端末が増えるほどネットワークのトラブルも難解になる可能性も高くなるからです。

 

大規模ネットワーク環境では、トラブルに対処する際にリアルタイムにログをとれなかったり、対象APにどの程度のネットワーク負荷がかかっているかを把握しにくかったりするなど、その状況が見えにくくなるケースも少なくありません。さらに、大規模ネットワーク環境でのAPのバージョンアップは、システム全体の影響を十分に考慮しながら慎重に実施しなければなりません。企業の大規模な無線LANシステムの構築や運用には、そうした大規模ネットワークならでは課題に対応できる無線LANシステムが必要になります。

 

こうした課題に応えるのが、アメリカのMist社が提供しているクラウド管理型無線LANシステム「Mist」です。

 

MistSystemsは2014年に設立された会社で、創設メンバーの多くがCisco Systemsの出身者で、無線LANのさまざまな規格制定や技術、製品開発の経験を有するエキスパートです。従来のオンプレミス型やクラウド管理型システムにはない、クラウド管理型システムで、AIによる機械学習機能を備えるIntelligent Wireless Cloud(IWC)によって、障害の予兆を検知して大規模無線LANの最適環境を提供します。

 

APは企業向けに設計された信頼性の高いモデルで、「Virtual BLE(vBLE)」という特許技術による仮想ビーコンを備えています。管理者はダッシュボードからWi-Fiの設定を変更する、またユーザーの接続状況などを細かく確認できるなどネットワークの安定を少ない負荷で運用することができます。

 

(図1)Mistのシステム概要

 

 

 

■ダッシュボードによる詳細情報で迅速にトラブルを回避

 

クラウドによる管理や設定は、ダッシュボードからすべて行うことができます。取得できるデータは膨大で、かつ詳細な状況を把握することができます。ネットワークのサイト情報では、接続しているAPのステータスから、接続クライアント、利用されたアプリケーション、データ通信量などを詳細に取得できます。接続端末それぞれの情報や、利用したアプリケーション、接続レスポンス、電波強度、位置情報などの情報も取得可能です。仮想ビーコンに関する設定もダッシュボードから行えて、位置情報を確認できます。

 

またトラブルの状況を把握する機能も備えており、Wi-Fiの通信を自動でモニタリングして視覚化し、エラー項目は自動的にパケットキャプチャーをすることでトラブルシューティングが迅速に行えます。サービスレベルモニタリングでは、代表的な測定項目に対して、任意のしきい値を設定でき、目標を下回る場合には、サービスレベル低下の原因を視覚的に探すことも可能です。

 

こうした詳細な情報の取得と分析は、トラブルの予兆を迅速に発見でき、トラブルが起きた場合でも、問題が速やか特定できて解決までの時間を短縮できます。またファームウェアのアップデートなども、特定のAPのみを適用できるといった、きめ細かい対応が可能です。

大規模ネットワーク環境で利用することを考慮したさまざまな工夫がMistの最大の特長であり、企業にとって大きなメリットにつながります。

 

(図2)さまざまな情報取得や設置が可能なMistのダッシュボード画面

 

■1万人のうちの一人のトラブルでも即対応できる

 

Mistが大規模ネットワークに強いといわれる点は、例えば、膨大な端末のうちの1台が接続できないといったトラブルでも、素早くその原因を探り解決できる点にあります。「このAPに接続しているMという端末がネットワークにつながらない」といった報告がきたときに、ダッシュボードからMという端末が、接続時のどのタイミングでエラーが生じているのかを見ることができます。多数の端末に対応する大規模ネットワークの管理では、こうしたトラブルからのリカバリーが迅速にできることは重要です。

 

(図3)特定の端末の接続状況を簡単に確認できる

 

■独自の仮想ビーコンという仕組み

 

Mistのもう1つの特長は、vBLEによる仮想ビーコン機能を搭載していることです。vBLEを使うことで屋内でも最大誤差1メートル程度の詳細な位置情報が把握できます。これにより、スマートフォンや物理的なタグなどと通信することで、人やモノの位置を取得することができるようになります。

 

Mistの特許技術であるvBLEは、AP内に搭載した物理ビーコンから、放射状にビーコンを出すことで仮想ビーコンを設置できます。APを1つ設置することで物理ビーコンを8個配置したのと同様の効果が得られます。

 

この機能を活用することで、店の近くにお客様が来店した時に、割引のお知らせをスマートフォンに提示したりすることができるようになります。また工場などでは、機器に物理タグをつけておくことで、その機器が敷地内のどこにあるのかを調べることができます。スマートフォンの場所を確認できるようになれば、従業員が会社内のどこにいるのかも正確に把握することができるようになります。vBLEによる位置情報の活用によって、情報配信や資産管理などで活用の範囲が大きく広がります。

 

(図4)Mistが搭載する仮想ビーコンの仕組み

 

 

次回はMistの導入で、どんな情報が取得できてどのような設定が可能かなど、実際のダッシュボード画面を詳しくご紹介します。