EOL攻略ガイド(1):EOLがもたらすリスクと最適な移行時期は?
~EOL対応の必要性を理解し、計画的なリプレイスを進めるための基本知識~
ITシステムやネットワーク機器を導入・運用しているとEOLという言葉を耳にすることはないでしょうか。「EOL(End of Life)」とは、製品やサービスのライフサイクル終了を意味し、メーカーによる販売やサポートが終了するタイミングのことを言います。
この期限を過ぎたまま使い続けると、トラブルやセキュリティリスクに巻き込まれる可能性があります。『まだ動くから大丈夫』とリプレイスを先延ばしにしがちですが、このリスクを見過ごすと突然のシステムダウンやサイバー攻撃により、予想外のコストや業務停止につながる恐れがあります。
本コラムでは、EOL攻略ガイドの第1弾として、EOLが企業にもたらすリスクとリプレイス成功のカギとなる重要ポイントをお伝えします。
なぜEOLがあるのか
IT製品の多くは販売開始から5年~7年ほどでメーカーが保守サポートなどのサービス提供を打ち切ります。メーカーがEOLを設定しサービス提供を終了する理由には、機器の経年劣化によるリスクを軽減するためや新しい技術に製品が追い付かなくなってきたなど様々な理由があります。
IT業界においては、新しい技術や機能の開発が非常に速いスピードで進んでいるため、各種機器にも新しい技術との互換性が求められます。そのため、新技術、新規格を適用した製品が次々と開発されることもあり、古い機器から最新の機器への移行を促すためにEOLが設定されています。
しかし、ユーザー視点で考えるとEOLを迎えたからと新しい機器に移行することは、コスト面や運用面などから難しいとされ、EOL後も継続利用を検討するユーザーもいるでしょう。「まだ動くから大丈夫」と思ってサービス提供を終了後も利用し続けると、思わぬリスクに遭遇する場合があります。
EOL後の危険信号:継続利用に潜むリスク
製品がEOLを迎えても、そのまま継続して利用すること自体は可能ですが、メーカーやベンダーによるサポートを受けられなくなるため、様々なリスクが発生する可能性が潜んでいます。
●セキュリティリスク
メーカーやベンダーによるサポート終了に伴い、修正プログラムも提供されなくなります。それにより、新たに発見されたセキュリティ上の脆弱性に対応できなくなり、悪意ある攻撃者に狙われやすくなるため、システムへの不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まります。また、マルウェアに感染する可能性も高くなり、マルウェアに感染すると他のシステムにも影響を及ぼし、業務の継続が困難になる可能性があります。
●運用リスク
EOLに達した機器は長年稼働しているため、経年劣化により障害が多発する可能性も潜んでいます。障害が発生した機器が重要なものであれば、事業活動に多大な支障が出る場合もあります。さらに、メーカーの公式サービスを受けられないため、自社で修理するかメーカー以外に修理を依頼しなければならないため、ダウンタイムが長期化するとともに運用コストも増加する可能性もあります。
●業務改善を妨げるリスク
EOLに達した機器は経年劣化だけでなく、最新の製品やサービスと比較すると機能面で大きく劣ってしまう部分も想定されます。最新機能との互換性がなかったり、最新ソフトウェアなどに対応できないなかったり、必要とされる機能やパフォーマンスの向上が得られず、業務効率に悪影響を及ぼす可能性があります。
このように、製品がEOLを迎えることは、セキュリティリスクの増大、サポートと問題解決手段の喪失、技術的な遅れといった複数のリスクをもたらします。
これらを防ぐためには、EOLになる前に後継機種へのリプレイス、製品のアップデートを検討する必要があります。
リプレイス成功のカギ:5つの重要ポイント
先述したリスクを回避するためにも、EOLが近い製品についてはすみやかに後継機種へのリプレイスを検討する必要があります。しかし、しっかり検討して実施しないとリプレイスに失敗してしまい、短期間で再検討しなければならなくなります。リプレイスを失敗に終わらせないためにも、成功のカギとなるポイントをおさえて検討しましょう。
●ポイント1:将来にわたる業務ニーズの見極め
数年先を見越した拡張計画やITシステムの負荷増加を考慮し、適切なスペックの製品を選定する。
●ポイント2:最新のセキュリティ機能の確認
最新のセキュリティ機能はその機器に搭載されているか、自社のセキュリティポリシーや業界のガイドラインに適合しているかを確認する。
●ポイント3:サポートとアップデート提供期間の確認
リプレイスする機器のサポート期間やメーカーのアップデートポリシーを確認し、長期的に運用できる製品なのかどうかを確認する。
●ポイント4:運用コストの見直し
リプレイスにかかる初期費用を運用コストの削減や生産性向上によって回収できるかどうか、総合的なコストパフォーマンスで評価する。
●ポイント5:最適なリプレイス時期の判断
予期せぬトラブルを想定し、EOLの半年から1年前にリプレイスを実施する。
EOLは機種によって異なります。まずは、自社が保有している機器のライフサイクルがどの段階なのかを確認し、年度末や予算編成のタイミングなどを考慮して予算確保や社内調整をすることも、リプレイスを円滑に進める上で重要なポイントとなります。
まとめ
EOLは単に製品の販売終了やサポート終了を示す期日を表す言葉だけではありません。EOL後も継続利用した場合、セキュリティの脆弱性や故障といったさまざまなリスクが潜んでいるということを認識し、適切なタイミングでリプレイスを検討することが重要となります。
EOL攻略ガイドの第2弾では、「リプレイス成功のカギ」を深堀して解説します。
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