多要素認証(MFA)だけでは守れない?SaaS時代に情報システム担当者が直面する“ID管理の限界”
① 認証は強化した。それでも不安が残る理由
クラウドシフトが進み、あらゆる業務が「ID」を起点に行われる今、多くの企業が多要素認証(MFA)を導入し、入り口の守りを固めてきました。しかし、認証を強化してもなお、情報システム担当者の不安が消えないのはなぜでしょうか。
その背景には、MFA(多要素認証)だけでは解決できない「運用と権限」の実態があります。
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- アカウントの放置:退職者や異動者のID削除・変更が追いつかず、不要なアクセス権が残ったままになっている
- アクセスの不透明化:膨大なSaaSのなかで、「誰が・どのサービスに」アクセスできる状態なのか、全体像を把握しきれていない
- 権限のブラックボックス化:本人確認(MFA)はできても、そのユーザーが「業務に見合った適切な権限」で操作しているかまでは監視できていない
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「入り口(認証)は閉めた。だが、家の中(権限)の管理は万全か?」
この「認証と管理のギャップ」こそが、SaaS時代に情報システム担当者が直面している本質的な課題となっています。
② 攻撃の主戦場は「システム」から「ID」へ
近年のサイバー攻撃は、システムの脆弱性を突くよりも「正規アカウントをいかに悪用するか」という手法へシフトしています。攻撃者にとっての「ゴール」は、以下の3点を揃えてしまうことです。
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- 正しいID:実在するユーザー名
- 正しい認証:盗んだパスワードや認証突破によるログイン
- 正しい操作:システム上で許可された正規のコマンド
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これらが揃うと、ログ上は「正常な操作」として記録されるため、内部ユーザーによる正当な利用との区別が極めて困難になります。こうした「IDの突破」がもたらす深刻なリスクは以下の通りです。
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- 外部攻撃者による【なりすまし】:正攻法でログインされるため、セキュリティ検知をすり抜けてしまう
- 内部関係者による【権限逸脱・不正利用】:付与された権限を悪用されると、周囲が異常に気づきにくい
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結果として、異常の発見が大幅に遅れ、被害が深刻化しやすくなります。
現代のセキュリティにおいて、IDはもはや単なる符号ではなく、最優先で守るべき「最大の防御ポイント」なのです。
③ MFAの限界と、求められる次の一手
MFA(多要素認証)は「本人確認」を強固にしますが、それだけで万全ではありません。それは、MFAだけでは次のようなリスクを判断できないからです。
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- 権限の妥当性:そのユーザーに、今その権限が本当に必要か?
- 環境の安全性:使用しているデバイスや接続ネットワークは安全か?
- 組織変更の反映:異動・兼務・業務変更に合わせ、権限が即座に更新されているか?
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つまり、MFAは「誰か」は確認できても、「何をどこまで許すか(認可)」までは管理しきれないという限界があります。
このギャップを埋めるのがIAM(Identity and Access Management)なのです。
しかし、導入をためらう現場も少なくありません。
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- 「大規模なシステム改修で大変そう」
- 「既存のIdP(認証基盤)との整理が難しい」
- 「目先の認証対応だけで手一杯」
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————「必要性は痛感しているが、ハードルが高くて後回しになっている」
これが多くの情報システム担当者の本音ではないでしょうか。
④ 認証から統合管理へ──現実的なIAMという選択肢
IAM(Identity and Access Management)は、IDを軸にして以下の4要素を一元的に管理する仕組みです。
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- 誰に(ユーザー)
- 何を(アプリケーション・データ)
- どこまで(閲覧のみか、編集可能か)
- どんな条件で(社内からか、安全な端末からか)
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ここで重要なのは、一度の認証で終わらせず、常に状態を監視し続ける「ゼロトラスト」の考え方です。
最近では、一気に全てを変えるのではなく、段階的にIAMへ拡張する現実的なアプローチが主流となっています。
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- ステップ1:まずはMFAで「入り口」を固める
- ステップ2:そこから「ID・権限・ポリシー管理」へと範囲を広げる
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この流れなら、既存環境を活かしながら無理なく統合管理へ移行できます。Cisco Duoもこのステップを重視し、認証基盤をベースとしたIAMを提供することで、スムーズな管理移行を実現しています。
⑤まとめ:「認証はゴールではない」
SaaS全盛の現代、セキュリティの焦点は「正しく認証できたか」から、「正しい権限で、安全な状況下で使われているか」へと移っています。
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- MFAは重要な第一歩だが、それだけでは不十分
- IDを起点に「アクセス権限」まで統合管理することが不可欠
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「認証」を入り口として、その先の「管理」まで一貫して行うこと、その現実的な選択肢として、Cisco Duoは進化を続けています。
▶ Cisco Duoの IAM機能・構成の詳細を見る
Duo IAMの具体的な構成や活用方法については、製品ページにて詳しく解説しています。






